忘れじの時代錯誤の熱き路上シンガー
旅の途中に立ち寄った
駅前広場の片隅で
ギター片手にひとり歌う
長髪に髭のいかしたにいちゃん
ストレートで素直な歌声と
心揺さぶる熱いフレーズ
まばらな聴衆の背中越しに
僕はひっそりと聴いていた
時代錯誤だっていいじゃない
時代遅れだっていいじゃない
忘れかけた大切なものに
なんか触れたような気がした
あれから五年過ぎた今も
にいちゃんは歌っているだろうか
心の叫び解き放っているだろうか
駆け足で過ぎていく季節を
ただ見送るだけの僕に
もう一度聴かせてほしいよ
一緒に歌わせてほしいよ


