置き去りにされた風の町
吹き荒ぶ夜風が
打ちひしがれた心に
追い打ちをかける
今にも消えそうな街路灯
ポツンと寂しげな公衆電話
剥がれかけの広報ポスター
使い捨てられた自転車
悲しくむせび泣く電線たち
みんな泣いている
ひとりぼっちで泣いている
置き去りにされた風の町



吹き荒ぶ夜風が
打ちひしがれた心に
追い打ちをかける
今にも消えそうな街路灯
ポツンと寂しげな公衆電話
剥がれかけの広報ポスター
使い捨てられた自転車
悲しくむせび泣く電線たち
みんな泣いている
ひとりぼっちで泣いている
置き去りにされた風の町
遠くから
ずっと僕を見ている
人相の悪い
腹突き出した
老いぼれじじい
絶対
あんな風には
年取りたくないな
よく見たら
ショーウィンドウに映った
自分だった
いつのまにか僕は
想定外の
クソじじいになっていた
今日こそ一歩
前に進もう
そう覚悟決めたのに
心に棲みつく
弱虫ってヤツが
僕の前に
立ちはだかるんだ
そこどいてくれ
いつまでたっても
僕は前に進めない
出会いの数だけ
「さよなら」がある
「さよなら」の数だけ
出会いはもうない
僕の人生
もう「さよなら」だらけ
ふと聞こえてきた
中学生たちの
元気な声
「それじゃ明日」
「また明日ね」
聞き慣れた言葉が
心に響く
やっぱり別れは
「さよなら」より
「また明日」だね
それじゃ みんなまた明日
街は早々と
クリスマスの装い
線香花火きらめく
夏の夜
未だ昨日のよう
時は僕を
追い越してゆく
淡い想い出さえ
連れ去ってゆく
どこか足早に
街ゆく人たち
それぞれの物語
紡いでいるのかな
暮れゆく空に
淋しさが
とめどなく溢れ出る