拝啓 お元気ですか
探し物をしていたら
思わぬものを発見しました
潰れかけたダンボール箱の中に
古い葉書や封筒の束がありました
メールやSNSがない時代
心と心をつないでいたのは葉書や手紙でした
恐る恐る読み返してみました
想い出たちがはしゃぎ出しました
想い出たちとひとときの大宴会
拝啓
みなさんお元気ですか
想い出たくさんありがとう
感謝です
どうかいつまでも健やかで
敬具



探し物をしていたら
思わぬものを発見しました
潰れかけたダンボール箱の中に
古い葉書や封筒の束がありました
メールやSNSがない時代
心と心をつないでいたのは葉書や手紙でした
恐る恐る読み返してみました
想い出たちがはしゃぎ出しました
想い出たちとひとときの大宴会
拝啓
みなさんお元気ですか
想い出たくさんありがとう
感謝です
どうかいつまでも健やかで
敬具
長生きしてえな
みんな長生きしようぜ
って云ってた友が
あっけなく世を去った
タバコをやめ
人一倍健康に気をつけ
健康サプリを手放さなかった友は
病に倒れ旅立った
頑丈で
病気一つしなかった
体力自慢の友も
すでにこの世にはいない
人はみな
ひたむきに死に向かって走っている
面倒なことは
放り投げてしまえ
嫌なやつは
蹴飛ばしてしまえ
煩わしいものは
捨ててしまえ
疲れたら
怠けてしまえ
ああ
なんて気持ちのいい朝だ
友の死がきっかけで
書き始めた日記も
最近はまったく書けていません
時間というオブラートが
苦い思い出を包み込み
心の奥底に流してくれたのでしょう
でも悲しみや寂しさは
消えることはありません
まだ僕は
思い出の中でしか
生きられないのかもしれません
あれは雪の降る夜
残業帰り
やきとり屋で
男だけのクリスマス・イブ
せっかくの
ホワイト・クリスマスなのに
男ばかりじゃなあ
って
みんなで嘆いたっけ
あいつら
彼女できたかなあ
結婚して
子供もいるのかなあ
クリスマスを
恋人と迎える人も
友達と迎える人も
家族と迎える人も
ひとりぼっちの人も
怒っている人も
ブルーな人も
みんないっしょに
Merry X'mas
「焼きいも~」
「石焼きいも~」
冬を告げる声
気づけば
カレンダーは残り2枚
新年の抱負
“今年こそ”が
“今年もまた”
不発の
毎度ぐうたらな一年かな
空虚な部屋
秒針の音
心臓の鼓動
瞬きの音
あなたはいない
小さな古びた
駅のホームに佇む男
過ぎゆく電車を見送っている
秋の夕暮れはもの悲しく
うろ覚えの童謡口ずさめば
浮かぶ景色は故郷の山畑
いったい僕は
何処に向かい
何を探しているんだろう
ああ人生に
リセットボタンがあったなら
二度と同じ失敗はしないのになあ
ああ人生に
戻るボタンがあったなら
後悔せずに済むのになあ
ああ人生に
削除ボタンがあったなら
って思う今日この頃
押入れの一番隅に放置され
埃かぶったままのコピー用紙の束
すっかり黄ばんでしまったその姿
まるで僕みたいだと思った
季節の変わり目数えながら
人目に触れることのなく
じっと息を潜めて生きてる
マジで僕そのものだと思った
今 僕の机の上には折鶴一羽
色褪せた悲しげな折鶴一羽
朽ちてなくなるまで平和であれと願った
ひねくれ者
つい心にもないこと口走り
知らないうちに人を傷つけ
気づけば自分も傷ついてる
なんて悲しい人生だ
はぐれ者
集団や組織に馴染めず
いつのまにやら群れから離れ
気づけば一人ぼっち
なんて悲しい人生だ
小心者
自分の弱さをひた隠し
見栄ばかりばらまいて
気づけば愛想尽かされる
なんて悲しい人生だ
古いギター爪弾けば
浮かんでくるのは
仲間たちと過ごした
昨日のような遠い日
甘苦い想い出が染みついたアパートも
笑顔がチャーミングなおばちゃんがいた銭湯も
モーニングがおいしかった彼女お気に入りの喫茶店も
酒飲みらが毎晩のように通いづめた馴染みの店も
有り余るエネルギーを爆発させた小さなライブハウスも
ストレス解消に世話になったバッティングセンターも
もうない
今はない
遠い遠い
青い春の日
人里離れた
野原の道を歩いてゆく
すれ違う人はなく
言葉を交わす必要もない
足音を相棒にして
ただ黙々と歩いてゆく
こんな人生もありかな
寂しさと
ようやく
仲よくなれた気がする
もう大丈夫
僕はひとりっきりで
歩いていける
ほら
四月の空に
夢色ふうせんが
舞い上がっていくよ
これから始まる
すべての出来事を
祝福しているかのように
さあ
新しい風に
吹かれていこう
さあ
新しい一歩を
踏み出していこう
なんとなく検索していたら
見つけたんだ
想い出のピースたち
ひとつひとつ
つなぎ合わせれば
見えてきたんだ
がむしゃらに生きた証し
ネットの中に
誰かの記憶の中に
生きていたんだ
死んだはずの僕が
おーい
僕はここにいるよ
感謝を込めてキ―を叩く
心の声はどこかの誰かに届くかな
冷たい風の中
どこからか季節はずれの
風鈴の音
誰もいない公園に
寂しそうに佇む
古びたベンチ
雲の合間から
寒そうに見え隠れする
お月さま
なんとなく
夏が恋しい
寒い夜
つけっぱなしのラジオから
流れてきたのは
70'sフォークソング
なつかしの70's days
いとしの80's days
僕らのglorious days
あの素晴しい愛をもう一度
あの素晴しい日々をもう一度
長い髪と
髭を生やして
どこまでもこの道を
歩いてゆこう
埃かぶったロックンロール
口ずさみながら
どこまでもこの道を
歩いてゆこう
想い出のスクラップ
リュックにつめて
どこまでもこの道を
歩いてゆこう
長いこと
付き合ってんのに
いつまでたっても
好きになれん
マジで
俺って男に
嫌気がさした
キミは覚えてるかな
駅の伝言板
今は見かけることのない
駅の伝言板
幾多の物語が書き込まれた
駅の伝言板
キミと待ち合わせた
駅の伝言板
クセのあるキミの
白墨の文字
見つけた時の
淡いときめき
すっかり面影なくした
北口改札前
笑顔で手をふるキミを
ボクはいつまでも探していた